ハイ君との再会(1)

クアン

2011年01月17日 21:14

会員の方々が書いて下さったベトナム訪問記、3回目は沖本富貴子さんです。
2004年のベトナムツアー以来、6年ぶりのベトナム訪問。
沖本さんは、里子のハイくんがいるミンホア村訪問の様子を、とても詳しく書いて下さいました。
3回に分けてご紹介します。


私は今回のベトナム訪問で、里子のハイ君と6年ぶりに再会を果たしてきました。
ハイ君とは、私が青葉奨学会に参加した2002年の時からの付き合いになります。
当時はまだ小学校4年生で、履歴書に貼られていた写真はとても愛くるしいものでした。

初めて会ったのは6年前、青葉奨学会里子訪問の旅に参加した時で、ハイ君はちょうど小学校5年を終えて中学に進級したばかりでした。
ハイ君はとても恥ずかしそうにしていて、たくさん話をできたわけではありませんでしたが、新調したばかりの黒光りする手提げカバンを誇らしげに見せてくれた事が、とても印象に残っています。
玄関ドアとか窓ガラスなどがない吹きさらしの家の中では、そのカバンだけが異様に目だって立派に見えたものでした。
ハイ君は「困難な中でも僕はがんばっています」といつも手紙に書いてきていましたが、本当にお父さん、お母さんを助けながら、困難な中、勉強をがんばっていることがよくわかりました。

時間が経つのは早いもので、あれからもう6年。
その間、ハイ君は中学の4年間を終え、高校に進学し、そして今年の9月には最終学年の3年生になりました。
青葉奨学会の支援は基本的には高校までですので、もし今回のベトナム訪問の機会を逃したらもうハイ君と会えるチャンスがないかもしれないと思い、居てもたってもいられなくなって、急遽皆さんと同行して行って参りました。
航空券やホテルの手配がすでに終わったあとでの急な申し出であったために、村田さんには随分ご迷惑をおかけしました。

ハイ君の住んでいるミンホア村は、ビンズォン省北部にある小さな村です。
このビンズォン省は南側がホーチミン市に隣接している省で、北側はカンボジア国境にも近く、いわゆる「ホーチミン・ルート」の南端にあたるところらしいのです。
このビンズォン省はベトナムの中でも有数のゴムの産地ですが、最近、ホーチミン市に近い南側では、大規模な工業団地が建設されて急発展を遂げている最中だそうです。

前回は随分道に迷いましたが、今回はスムーズにミンホア村にたどり着くことができました。
ミンホア村では全部で10人の奨学生がいます。
小学生が7人、中学生が1人、高校生が2人という内訳です。
青葉奨学会の本部と連絡を取り合って、この地域の奨学生の担当をしてくださっているのは、どうやらミンホア小学校の校長先生のようでした。

私たちはまず10人の奨学生みんなが集まって待ってくれている小学校に行きました。6年前に訪問した時と変わらない、小学校の校庭のなつかしい風景でした。
私たちの車が学校に近づくと、1人の青年が駆け寄ってきました。
あのハイ君です。

私たちが到着するのを、今か今かと待っていてくれたのです。
背は私よりも伸びて、立派な青年になっていました。
手を取り合ってしっかりお互いを確かめあった瞬間、ハイ君の目から、大きな涙がボロッとこぼれました。
あわててハイ君は涙をこすりましたが、私も泣いていました。