カンザーのマングローブ

クアン

2009年07月05日 19:49

今日、NHKの「海外ネットワーク」という番組を見ていたら、たまたま「マングローブを守れ」という特集が放送されていました。
インドネシアのジャワ島で、エビ養殖池の開発のためにマングローブ林の大規模な伐採が行われた結果、海岸の浸食が進み、多くの住民が生活を脅かされている、ということです。
一方、ベトナム南部のカンザー地区では、かつて米軍による枯葉剤散布のためにマングローブ林が破壊されましたが、戦後、行政や住民の手で植林が行われ、現在も大切に保護されている様子が紹介されていました。

ホーチミン市の南東に位置するカンザー地区には、70名近くの青葉奨学生が暮らしており、私たちも何度か訪ねたことがあります。
生徒たちの住む村までの途中、道の両側には広大なマングローブ林が広がります。沖縄のマングローブと比べるとかなり樹高が高く、10数メートルになります。
見渡す限りのマングローブの森には、何度訪ねても感動させられます。
枯葉剤で破壊されたマングローブ林は約4万ヘクタール、そのうち3万ヘクタールほどが、植林で蘇ったということです。

カンザーでも実はエビ養殖がかなり盛んで、マングローブ林の新たな破壊も問題になっています。最近ではホーチミン市民の行楽地として観光開発が進み、環境への影響も心配されています。
カンザーでマングローブの再生・保護がすべてうまくいっているわけではないのですが、やはり世界的に見ても森林再生の貴重なモデルケースであることは間違いないようです。

人口500万人を超える大都会・ホーチミン市のすぐ下流に広がるマングローブの森。
生活・工業排水による河川の汚染や、開発などの影響を受けながらも、カンザーの森はいまも息づいています。
経済の発展と、自然環境との共生をどう折り合いをつけていくのか、ベトナムの将来にとって、カンザーは大きな意味を持っていると思います。
私たちの住む沖縄のこれからを考える上でも、カンザーの人たちの歩みは、いろいろな示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

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