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2009年09月28日

ゴミから見えるベトナム・沖縄

作家・辺見庸さんの「ハノイ挽歌」の中に、次のようなくだりがあります。


ハノイ貿易大学で日本語を教えているグエン・ビク・ハ先生が、ぼくに単語の意味を問うたことがあります。「燃えないゴミ」とは、と。
適当に答えました。三十代半ばのこの女性講師は怪訝な顔をします。
「だって、それはゴミではないでしょう?」

たしかに、空缶も空瓶もそれを入れるビニールバッグもハノイではゴミどころか貴重品です。缶詰なんて高価なものはめったに食べないから、空缶もそうはたくさんないわけですが、あれば確実に何かの容器にするか屑鉄として売るでしょう。空瓶は調味料入れに、花瓶に、薬酒の瓶に、携帯用湯呑みになります。切れた40W電球の口金を抜いて、花を生け、壁に掛けている家もあります。前衛生け花ではありません。廃物利用。日々の心遣い。

トンニャット(ホテル)のメイドたちは、部屋の屑籠の中身を集めてからいったん仕分けをします。むろん、空缶、空瓶、ビニール袋、古本、雑誌、シャンプー容器、着古したTシャツは、ここでは使用価値も交換価値もあるわけですから彼女たちが持って帰ることになります。

「ハノイではゴミでなくても、東京ではゴミなのです」
ハ先生にこう補足説明しつつ、われながら恐ろしいことをいっているなあと思いました。


辺見庸さんが共同通信のハノイ特派員をされていたのは1989年から1990年のことですので、ドイモイ政策が手探りで始められた時期のハノイの描写ということになるでしょう。
日本では、「バブル景気」真っ只中の頃ですね。考えてみると、あの時期、多くの地域ではゴミの分別回収さえ行われていなかったように思います。

それから20年が経ちました。
ベトナム人の廃物利用の工夫には、私自身感心させられることが多くあります。
しかしそれと同時に、いまでは、ベトナムの多くの場所でゴミの処理が深刻な問題になっているそうです。
生活様式の急速な変化や、観光客の急増などが要因だといわれていますが、それにしても大変な変わりようです。

日本では、ゴミの分別回収は当たり前になり、いろいろと問題はあると思いますが、リサイクルや「3R」の重要性が叫ばれています。
長引く経済不況もあって、アルミ缶や古紙などは収入源としても注目されていますね。
「ゴミ」をめぐる状況や意識は、日本でもある程度変わったように思います。

青葉奨学会沖縄委員会の10月の定例会は、「沖縄リサイクル運動市民の会」の古我知さんを囲んで、「『ゴミ』から見えるベトナム・沖縄」というテーマで、話し合ってみたいと思います。
「リサイクル運動市民の会」は、沖縄の市民活動の草分け的なグループですが、昨年と今年は、ベトナム・ホイアン市とマレーシアのコタキナバル市の職員を迎えてゴミ処理の研修の受け入れを担当しました。
ホイアンにも実際に行かれているようなので、貴重なお話しが聞けると思います。

難しいテーマではありますが、いつも通り、軽食や飲み物を持ち寄って、気軽なゆんたくという感じでやりたいと思います。
会員以外の方も歓迎しますので、興味のある方はどうぞお越し下さい。

10月17日(土)午後7時より
場所 久茂地マンション402号室「すぺーす結」(一銀通り安木屋向かい)
参加費無料(一品持ち寄り歓迎)
お問い合わせ 098-864-1539(すぺーす結)080-2719-4720(村田)


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Posted by クアン at 21:40│Comments(0)定例会
 
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