2011年08月07日
「枯葉剤、沖縄の9施設で使用」
今からちょうど50年前の1961年8月10日、ベトナム中部高原地方のコントゥム省ダクトというところで、米軍による最初の枯葉剤散布が行われました。
8月10日は、ベトナムでは「枯葉剤被害者の日」とされていますが、今年は50年目の節目ということで、さまざまな行事が行われるようです。
ところで、昨日8月6日、沖縄タイムスに、沖縄での枯葉剤使用に関する記事が載りました。
以下、沖縄タイムスの記事を転載します。
枯れ葉剤9施設で使用
元在沖米軍人証言 60~70年代前半
フェンス際の除草にも
1960年代から70年代前半の米軍普天間飛行場やホワイトビーチ、キャンプ・キンザーなど県内の9米軍施設で、ベトナム戦争で使用された猛毒の枯れ葉剤(エージェント・オレンジ)を使用、貯蔵していた可能性が高いことが5日までに分かった。
北部訓練場での使用は2007年に判明しているが、広範囲な使用、貯蔵が明らかになるのは初めて。
当時、効果的な除草剤として一般県民が入手した可能性があることも分かった。
環境への影響や基地従業員などへの健康被害は未解明のままだ。
英国系ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんが沖縄に駐留した退役軍人十数人から証言を得た。
証言によると、米本国などから沖縄に運ばれた枯れ葉剤は、多くが嘉手納基地や那覇軍港からベトナムへ輸送された。
しかし、県内の米軍基地でもフェンス際や滑走路周辺で除草剤として使われていた。
危険物との認識はなく、マスクや手袋もせず、雑草処理として散布された。
キンザーでフォークリフトの運転手をしていた退役軍人(61)は、何百ものドラム缶に入った枯れ葉剤を各地の基地に送ったと証言。
ドラム缶が割れ、液が地面に流れ、体にかかることもあった。
キャンプ桑江やシュワブ、泡瀬通信施設でも使用されたという。
ミッチェルさんは「枯れ葉剤の問題は、過去の問題ではなく、沖縄の人たちにとって現在の問題だ」と話し、米軍基地内の環境調査の必要性を訴えている。
(知念清張)
枯れ葉剤「基地内調査を」
否定し続ける米政府
ジョン・ミッチェル氏に聞く
米軍がベトナム戦争中の1961年に初めて枯れ葉剤を散布してから10日で50年。
ベトナムでの被害は広く知られているが、その補給・前線基地となった沖縄で枯れ葉剤の使用の実態については、ほとんど知られていない。
ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんは「ダイオキシンの影響は何十年後も続く。福島第1原発の放射能の問題が騒がれているが、沖縄の枯れ葉剤問題が忘れられてはいけない」と訴えている。
取材に応じ情報を提供した退役軍人の多くは60~70代で多くが体調を崩している。
「米国政府から恩給を受けて政治的な問題に発展することを嫌って口をつぐむ人も多い」が、死を身近に感じている人ほど「沖縄の人にも健康被害を与えた」と取材に協力的だった。
「通常の除草剤の10倍の効き目があった」
枯れ葉剤は米兵が恐れていたハブ除けの効果もあり、重用された。
ベトナム戦争当時によくあった「米軍の食料と地元のビールを交換するような感覚の物々交換」や、個人的売買も普通だったといい、枯れ葉剤が県民の手に渡った可能性も否定できないという。
そのころ、基地内で枯れ葉剤の扱いは「かなり雑だった」という証言が多く集まった。
1970~71年、19歳から20歳の時、キャンプ・シュワブで従軍したスコット・パートンさんは枯れ葉剤を散布中、誤って皮膚に触れることもよくあった。
また、枯れ葉剤を入れていたドラム缶は使用後はごみを焼くために使われた。
パートンさんは、枯れ葉剤の影響とみられる前立腺がんなどを患っている。
一方、米国政府は沖縄での枯れ葉剤使用について、報告書も書類もないと否定したままだ。
ミッチェルさんは「ベトナム戦争では、すべての物資が沖縄を経由した。枯れ葉剤の記録がないというのは論理的におかしい」と指摘。
退役軍人の証言とベトナムの枯れ葉剤被害と酷似する健康被害があっても否定する米国政府に、沖縄での使用を認めさせるには「基地内で土壌検査や水質調査を行うことが不可欠だ」と指摘する。
ミッチェルさんは、国際会議「占領下における対話」に参加するため来沖。
6日午前11時から、沖縄国際大学で「沖縄の枯れ葉剤」をテーマに報告する。
転載ここまで
ジョン・ミッチェルさんの地道な取材のおかげで、これまでほとんどわかっていなかった沖縄での枯葉剤使用の実態の一端が見えてきました。
今年の4月にミッチェルさんがジャパンタイムズに寄せた記事「沖縄におけるエージェントオレンジの証拠」は、こちらに載せています。
http://aobaokinawa.ti-da.net/e3350823.html
なお、「占領下における対話」のスケジュールはノロノロ台風9号の影響で大幅に変わり、ミッチェルさんの報告は、明日8月8日(月)午後2時50分から3時20分まで、沖縄キリスト教学院大学・シャローム会館で行われるそうです。
私も聞きに行こうと思っています。
8月10日は、ベトナムでは「枯葉剤被害者の日」とされていますが、今年は50年目の節目ということで、さまざまな行事が行われるようです。
ところで、昨日8月6日、沖縄タイムスに、沖縄での枯葉剤使用に関する記事が載りました。
以下、沖縄タイムスの記事を転載します。
枯れ葉剤9施設で使用
元在沖米軍人証言 60~70年代前半
フェンス際の除草にも
1960年代から70年代前半の米軍普天間飛行場やホワイトビーチ、キャンプ・キンザーなど県内の9米軍施設で、ベトナム戦争で使用された猛毒の枯れ葉剤(エージェント・オレンジ)を使用、貯蔵していた可能性が高いことが5日までに分かった。
北部訓練場での使用は2007年に判明しているが、広範囲な使用、貯蔵が明らかになるのは初めて。
当時、効果的な除草剤として一般県民が入手した可能性があることも分かった。
環境への影響や基地従業員などへの健康被害は未解明のままだ。
英国系ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんが沖縄に駐留した退役軍人十数人から証言を得た。
証言によると、米本国などから沖縄に運ばれた枯れ葉剤は、多くが嘉手納基地や那覇軍港からベトナムへ輸送された。
しかし、県内の米軍基地でもフェンス際や滑走路周辺で除草剤として使われていた。
危険物との認識はなく、マスクや手袋もせず、雑草処理として散布された。
キンザーでフォークリフトの運転手をしていた退役軍人(61)は、何百ものドラム缶に入った枯れ葉剤を各地の基地に送ったと証言。
ドラム缶が割れ、液が地面に流れ、体にかかることもあった。
キャンプ桑江やシュワブ、泡瀬通信施設でも使用されたという。
ミッチェルさんは「枯れ葉剤の問題は、過去の問題ではなく、沖縄の人たちにとって現在の問題だ」と話し、米軍基地内の環境調査の必要性を訴えている。
(知念清張)
枯れ葉剤「基地内調査を」
否定し続ける米政府
ジョン・ミッチェル氏に聞く
米軍がベトナム戦争中の1961年に初めて枯れ葉剤を散布してから10日で50年。
ベトナムでの被害は広く知られているが、その補給・前線基地となった沖縄で枯れ葉剤の使用の実態については、ほとんど知られていない。
ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんは「ダイオキシンの影響は何十年後も続く。福島第1原発の放射能の問題が騒がれているが、沖縄の枯れ葉剤問題が忘れられてはいけない」と訴えている。
取材に応じ情報を提供した退役軍人の多くは60~70代で多くが体調を崩している。
「米国政府から恩給を受けて政治的な問題に発展することを嫌って口をつぐむ人も多い」が、死を身近に感じている人ほど「沖縄の人にも健康被害を与えた」と取材に協力的だった。
「通常の除草剤の10倍の効き目があった」
枯れ葉剤は米兵が恐れていたハブ除けの効果もあり、重用された。
ベトナム戦争当時によくあった「米軍の食料と地元のビールを交換するような感覚の物々交換」や、個人的売買も普通だったといい、枯れ葉剤が県民の手に渡った可能性も否定できないという。
そのころ、基地内で枯れ葉剤の扱いは「かなり雑だった」という証言が多く集まった。
1970~71年、19歳から20歳の時、キャンプ・シュワブで従軍したスコット・パートンさんは枯れ葉剤を散布中、誤って皮膚に触れることもよくあった。
また、枯れ葉剤を入れていたドラム缶は使用後はごみを焼くために使われた。
パートンさんは、枯れ葉剤の影響とみられる前立腺がんなどを患っている。
一方、米国政府は沖縄での枯れ葉剤使用について、報告書も書類もないと否定したままだ。
ミッチェルさんは「ベトナム戦争では、すべての物資が沖縄を経由した。枯れ葉剤の記録がないというのは論理的におかしい」と指摘。
退役軍人の証言とベトナムの枯れ葉剤被害と酷似する健康被害があっても否定する米国政府に、沖縄での使用を認めさせるには「基地内で土壌検査や水質調査を行うことが不可欠だ」と指摘する。
ミッチェルさんは、国際会議「占領下における対話」に参加するため来沖。
6日午前11時から、沖縄国際大学で「沖縄の枯れ葉剤」をテーマに報告する。
転載ここまで
ジョン・ミッチェルさんの地道な取材のおかげで、これまでほとんどわかっていなかった沖縄での枯葉剤使用の実態の一端が見えてきました。
今年の4月にミッチェルさんがジャパンタイムズに寄せた記事「沖縄におけるエージェントオレンジの証拠」は、こちらに載せています。
http://aobaokinawa.ti-da.net/e3350823.html
なお、「占領下における対話」のスケジュールはノロノロ台風9号の影響で大幅に変わり、ミッチェルさんの報告は、明日8月8日(月)午後2時50分から3時20分まで、沖縄キリスト教学院大学・シャローム会館で行われるそうです。
私も聞きに行こうと思っています。
Posted by クアン at 19:38│Comments(0)
│沖縄基地とベトナム