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2010年02月14日

タオ様は天に帰った

Chuc mung nam moi !
新年あけましておめでとうございます!

新しい年がやってきました。
中国や台湾、糸満をはじめ、アジアのおそらく20億人近い人々が、新年を祝っていることでしょう。
私も、お酒を飲んでお祝いしています。まあ、お酒を飲むのは毎日ですけど…。
ベトナムでも、最大の年中行事「テト」元日です。時差の関係で、あと2時間後になりますが。

先週ベトナムにいたときも、土曜日(6日)ぐらいからは、すでに街はお正月モードに入っていました。
ホーチミン市のドンコイ通りやレロイ通りあたりは、いままで見たこともないような飾りつけがされて、夜はライトアップされて幻想的な光景でした。
時間がなくてほとんど見物できなかったのが残念でしたが…。

ところで、6日の午後に戦争証跡博物館を訪ねたとき、ヴァン館長が、突然こんなことを言いました。
「今日は、タオ様が天に昇る日でしょう?あなたが今日ベトナムに来ていたら、誰がタオ様をお送りするのですか?」
その日は、旧暦でいうと12月23日でした。

「タオ様」とは、「オンタオ」または「タオクアン」といい、言ってみればベトナムの「火の神(ヒヌカン)」です。
旧暦12月23日に天に昇って、その年の家族の様子を、天の神様に報告するのです。
沖縄の場合は、旧暦12月24日ですよね。私は東京出身の独身者なので、あまり詳しくないのですが…。
沖縄を2度訪ねているヴァンさんは、沖縄にもタオ様と同じ習慣があることを知っていて、このような話題を持ち出したのでしょう。
天に昇る日が1日違っていたり、細部にはいろいろな違いがあるのですが、ベトナムのタオ様と沖縄のヒヌカンは共通点がとても多いといえるでしょう。

それにしても、かつてモスクワ留学中にロシア語でレーニン全集を読破したという、生粋のコミュニストである(と思われる)ヴァンさんが、突然「今日はタオ様が天に昇る日でしょう?」なんて言い出したのは、意外でもあり、またとても嬉しくもありました。

さて、タオ様が天に昇ると、街は一気にテトの気分になるようです。
2月7日の「トゥオイチェ」新聞の一面トップの記事は、こんなふうな書き出しで始まっていました。
「タオ様は天に帰った。テトの足音は、もう門の前までせまっている。国じゅうの至る所で、にぎやかにテトを迎える準備をしている」

たとえて言うと、琉球新報か沖縄タイムスの一面トップの記事で「ヒヌカンは天に帰った。旧正月はもうそこまで来ている」と書くようなものです。ちょっと考えにくいですよね…。
ベトナムのタオ様は、沖縄のヒヌカンと比べても、かなりポピュラーな存在であるようです。

沖国大の学生で、青葉奨学会沖縄委員会の手伝いを熱心にやってくれているNさんは、このほどベトナムのタオクアンをテーマに卒論を書き上げました。
中国や沖縄との比較も試みているようです。
私はまだ少ししか読んでいませんが、先例の研究が少ないテーマなので、かなり貴重な論文だと思います。

そのNさんは、卒業の前に一度ベトナムのテトを体験してみたい、ということで、8日からベトナムに行っています。
今頃は、タイビン省の知人宅で、一緒に新年を祝っていることでしょう。いいなあ…。
私も、あと一週間ベトナムにいたかったなあ…。

ともあれ、これからの一年間が、素晴らしい年になりますように。
ベトナムやアジアの子どもたちが、楽しいテトを過ごしますように。
Chuc van su nhu y !(万事如意!)


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